パリ・コミューンの詩人たち──ウジューヌ・ポティエ

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ウジューヌ・ポティエ

 コミューンの詩人たちのなかで、最大の詩人は疑いもなくウジューヌ・ポティエであった。『インタナショナル』の作詞者ポティエは、一八一六年、パリの労働者の家に生まれた。十三歳から徒弟となって働き、独学で勉強する。詩人ベランジェが好きで、十二歳のときに、すでにかれの詩を暗誦することができた。
 一八三〇年の革命のなかで、かれは十四歳にして最初のシャンソン『自由万歳!』を書いた。その後も、働きながら書きつづける。
 一八四八年の「六月革命」に参加し──その頃、かれはフーリエ主義者であった──あやうくバリケードで銃殺されるところであった。
 一八五一年のナポレオン三世による十二月政変後、ポティエはインタナショナル加盟の組合運動に参加する。
 一八七〇年七月、かれは、インタナショナル・パリ支部がドイツの労働者に送った戦争反対の呼びかけに、署名する。プロイセン軍のパリ侵攻を前にして、かれはフランス大革命(一七九三年)の愛国的伝統の名において、人民の大衆的蜂起を呼びかける。かれは第二区の監視委員に指名される。コミューンが成立するや、かれはコミューン評議員に選出され、居住区および「芸術家連盟」に参加しコミューンを守るため、かれはバリケードの上で闘い、ヴェルサイユ軍の弾圧が始まると身を隠して、のちにイギリス、ついでアメリカに亡命する。
 かれは、一八七三年からー八八〇年までアメリカに滞在し、苦しい生活を送りながら、アメリカの資本主義を研究する。コミューンの同志たちと連絡をとりながら、アメリカの労働運動に参加し、コミューンの経験と教訓とをもつて、アメリカにおける最初の社会主義党の創立を援助する。
 一八八〇年、貧窮と病身をかかえて帰国すると、かれはただちに「労働党」にはいって、ふたたび筆をとって闘争に参加する。しかし一八八七年、中風症のために没する。一八八七年十一月八日、パリの労働者は、ポティエの遺骸を、銃殺されたコミューン戦士たちの埋葬されているペール・ラシェーズ墓地に埋葬した。大群衆がこの市民葬に参加し、「ポティエ万歳!」を叫んだ。
 詩人ポティエの真価が大衆に知られたのは、かれの死の直前、コミューンの同志たちの援助の下に出版された『革命歌集』によってであった。(この歌集は、一九〇八年と一九三七年に再刊され、数版を重ねた。)
 詩人ポティエは、世界文学史上、科学的社会主義の思想をわがものとした最初の詩人のひとりであった。かれがこの思想をわがものとしたのは、むろん、理論家としてではなく、詩人としてであった。歴史的・社会的な諸問題は、ポティエにあっては、人間の運命をとおして、世界の具体的なイメージとその展望において、反映されている。
 一八四八年頃、ポティエの詩はまだ冷やかし半分の風刺詩か、慰めの歌であった。かれの詩が豊かになり、芸術的円熟を見せるのは、コミューン以後である。コミューンは、かれの詩的円熟への出発点であった。
 『蜂起者』という詩は、十九世紀末のフランスの労働者たちによってひろく愛誦された詩であるが、詩人はそこで、新しい世界のために闘う新しい人間像を与えている。

きみの前には 野蛮きわまる貧乏があり
きみの前には 重苦しい奴隷暮らしがある
蜂起者は
銃を手に 立ち上った!
蜂起者! 彼の真の名は「人間」だ

 「血の週間」の翌日に書かれた『インタナショナル』において、かれはコミューンの教訓を要約し、未来の道をプロレタリアートに指し示している。『インタナショナル』は革命詩人ポティエの成熟を示すと同時に、フランスのプロレタリア階級の成熟をも示しているのである。
 レーニンは、ポティエを高く評価し、『その死去二十五周年によせて』で、つぎのように書いている。
 「一八七六年、亡命中にポティエは『アメリカの労働者はフランスの労働者に訴える』という詩を書いた。彼はこの詩のなかで資本主義のくびきのもとにある労働者の生活、その貧困、その苦役労働、その搾取、その事業のきたるべき勝利にたいする彼らの固い信念をえがきだした。・・・                    
 ポティエは貧困のうちに死去した。だが彼は自分について不朽の記念碑をのこした。彼は歌による最大の宣伝家の一人であった。彼が最初に歌をつくつたときには、社会主義的労働者の数は、たかだか数十をもつてかぞえられた。しかし、いまでは何千万というプロレタリアがウジェーヌ・ポティエの歴史的な歌を知っているのである」 (大月版『レーニン全集』第十八巻六六七ページ)

ポティエ


<新日本新書『パリ・コミューンの詩人たち』──詩人たち>
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