内灘のうた

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内灘のうた

四ヶ月 ただ四ヶ月の試射だと
村人をだまし たぶらかし
かれらは うりわたした
内灘のすべてを アメリカの手に

やつらはまた撃ちはじめた
坐りこんだ村びとをしりめに
歯ぎしりする村びとの腹の底を
かきむしり とどろく砲弾を

やつらはまた 砂丘にぶちこみはじめた
くろく砂けむりをあげる砲弾を
漁場をふみにじる砲弾を
戦争火つけ人の砲弾を

じいさんもおかみさんもくやしさに
砂をにぎりしめて怒った 泣いた
かなしみのはて つかれのはて
ひとりのおかみさんは くるってしまった

浜べにはりめぐらされた
鉄条網にしがみついて
鉄条網のあみ目から
海をみつめる子供たち

──おれたちには釣もできない
もう泳ぎも 舟あそびもできない
地曳網の手つだいもできない
海べにいながら 海がないんだ

子どもたちがなく これでいいのか
先祖たちのねむる この砂丘
このまんま孫子にわたせるというのか
もうだまされるものか 狼と狐に

ほおかむりの おかみさんたち
ねじりはちまきの じいさんたち
浜小屋から退くな 岩のように
断じておろすな むしろ旗を

砂丘にうちよせる波のように
いま日本じゆうのねがいが はげましが
あなたたちの砂丘におしよせる
祖国の眼は内灘をみまもる

内灘のじいさんたち おかみさんたち
村だけでは 勝てないんだ
鉄板道路を 怒りのデモでふみならす
北鉄の労働者たち 学生たちと腕をくめ

おお アカシヤの林をゆるがし
日本海の潮風に はげまされて
うたごえは 砂丘からわきあがり
うたごえは こだまを どよもしてゆく

津軽の海べへ 九十九里へ
浅間の山ふところへ 妙義山へ
日鋼赤羽工場の 高い塀のなかへ
立川フィンガム基地の 鉄条網のなかへ

敵はひとつ たたかいはひとつ
労働者と農民をひきさくものは
村を組合を割るものは 敵の手先だ
祖国はひとつ民族はひとつ

アメリカ兵に折られきりさかれた
ねむの技 アカシヤの枝さえ
ふたたび みどりに牙ぶいてくるぞ
おれたちにこそ 明日はある

<1953年『角笛』10号>

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