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『マチュ・ピチュの高み』第七の歌 おんなじ一つ深淵の死者たち

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第七の歌 おんなじ一つ深淵の死者たち

おんなじ一つ深淵の死者たち 深い奈落の亡霊たちよ
こうしてきみたちの偉大さにふさわしいスケールで
すべてを焼きつくすようなほんとの死がやってくると
穴のあいた岩から
深紅の柱頭から
階段状の水道から
きみたちは転げ落ちた 秋のなかへのように
おんなじ一つの死のなかへ
きょう ひとのいないうつろな大気はもう泣かない
それはもうきみたちの粘土の足を知らない
空を濾した水がめを忘れてしまった
雷の匕首が大気をひき裂いたとき
逞ましい木は霧に食われ
突風に吹き折られた
大気が支えていた一つの手は 突然
山の高みから時間の終点へと落ちた
もはや きみたちはいない 蜘蛛の手よ
脆い糸よ もつれた布よ
きみたちであったすべては落ちてしまった
習慣も すり切れた言葉も 光まばゆい假面も

しかし 石とおしゃべりがあとに残る
コップのような都市が
生きてる者 死んだ者 黙ってる者 耐える者
すべての者たちの手で建てられた
たくさんの死による ひとつの壁
たくさんの生による 石の花びらたちの衝突
永遠の薔薇 住居
このアンデスの岩礁の凍てついた集落

粘土の色をした手が
みずからもまた粘土となった時
ざらざらした壁に満ち 砦に蔽われた
哀れなまぶたが閉じた時
そして人間がみんな穴のなかにうづくまった時
正確さが高く掲げられて残った
人類のあけぼのの名所
沈黙をたたえたいと高い壷
たくさんの生のあとに残った一つの石の生

(パブロ・ネルーダ 『マチュ・ピチュの高み』)
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