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マチュ・ピチュの高み─第五の歌 荘厳な死よ

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 第五の歌 荘厳な死よ

荘厳な死よ 鉄の羽根をはおった鳥よ それはおまえではなかった
あれらの住居の哀れな後継ぎたちが
急かされた食物とともに うつろな肌の下に抱いていたものは
それはなにか 皆殺しにされた同類の哀れなひとつの花びらであり
戦いを知らなかった心のひとつの原子であり
あるいはどんな額にも落ちたことのない何か苦い露だった
それはよみがえることのできないものであり
平和も領地もない小さな死のひとかけらであり
彼のなかで死んでいった一片の骨 一つの鐘だった

わたしはヨードの包帯をとり拂って手をさし込んだ
死を殺した哀れな苦しみのなかに
そしてわたしが傷ぐちのなかに見出したのは
ほかでもない 魂のぼんやりした隙間から吹き込む寒い突風だった

(パブロ・ネルーダ 『マチュ・ピチュの高み』)
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