きみは立っていた

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きみは立っていた


(自筆原稿)

<「大島博光詩集1995〜2003」>
>>テキスト

 きみは立っていた

きみは立っていた 千曲川の土手の
野あざみのなかに 五月のなかに
おお永遠の春の日よ 生の日よ

きみは立っている バラの頬をして
わたしの記憶のなかに 眼のなかに
きみの写真はもう 黄色くなったが

もう涙も涸れた 悲しみも消えた
いまは心静かに きみの愛を歌おう

わたしの心臓は 老いて弱よわしいが
まだ脈搏っている 血を送り出している
生きているかぎり わたしはうたおう
わたしを生きさせてくれた愛の歌を

死の手からきみを奪いとるため
あかずにわたしは きみをうたおう

死から たたかいとった 生の歌を
死でさえ わたしの記憶のなかから
きみを奪いさることはできない

忘却もまた わたしの歌のなかから
きみを消しさることはできない
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