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春としあわせのために

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 春としあわせのために

鳩の胸毛と 赤いばらと そよぐそよ風 といえば
きみたちは やさしい眼で ほほえんでくれよう
夕ぐれの雪山と いろりの焚き火と 酒 といえば
きみたちは 冬の日にも 心おどらせてくれよう

母おやの胸と おさな子と うぶ毛 といえば
きみたちは いのちの美しさを思い出してくれる
たこあげと なわとびと 夕焼けの色 といえば
きみたちは むしんな子どもの頃をなつかしむ

そうして 青空と 茂みと くちづけといえば
きみたちは ふるえるようなよろこびを思い出し
草の上の踊りの輪と 笑いと 歌ごえ といえば
きみたちは 春のひとみをかがやかせてくれよう

だが ひきさかれた 母とむすこと こいびとたち
長い行列と 胸に抱かれた白木の箱と からの米びつと
きのこ雲と 火のなかのひまわりと 灰 というとき
ぼくらは眼をくもらせて なにを思い出すだろうか

そして 血まよった張子の虎と 原子戦争と ペンタゴンと
南ベトナムと 南朝鮮と 西ベルリン というとき
そうして 沖縄と 新島と 裏切りのやから というとき
怒りのこぶしを握るぼくらは なにをなすべきなのか

しかも 根をはる党と 東の風とひるがえる旗と
もりあがる階級と 希望と 燃え広がる火があるとき
ぼくらは言おう 春はいつか冬を追いはらうだろう
わかわかしい未来は 老いぼれた過去に勝利するだろう

(自筆原稿)
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