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アルベルティ─平和と軍縮と自由のための歌

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 平和と軍縮と自由のための歌
                ラファエル・アルベルティ
                              
おお 怪物どもに捕われた
不幸な大地よ! おまえはただ
滅ぼされるために生まれてきたのか

おまえの脇腹の傷はまだ
ふさがっていないのに やつらは
またもや新しい死者を求めている

ほとんど平和の歌は聞こえぬのに
耳を澄ませば聞こえてくる
泣き声が 泣き声が 泣き声が

どこにいるのだ? だれなのだ?
おまえの心臓までこっぱみじんに
いままた吹き飛ばそうとするものは?

中性子爆弾で地球を支配しようと
そんな妄想に駆られているのは
いったい ぜんたい だれなのだ?
おお 戦争屋の悪党どもよ

見るがよい ここにいるわれらを
われらには顔がない われらは
住んでいる地球そのものなのだ

くるがいい われらには名前がない
だが みんなが答えるのだ
おんなじ一つの光に――人間と

われらはここにいる おまえらは
生にたいして なんにもできぬ
できるのは 死をつくりだすことだけ

炎を投げつけるがいい ふたたび
世界を 火だるまにするがいい
火と血で その渇きをいやすがいい

暗闇よ われらは待ちうけている
光のなかにいる われらは 
平和の砦(とりで) 平和の城壁

おまえらは 戦争をのぞむのか
われらはちがう 平和を武器に
おまえらを 葬ってやる

世界に平和を! 怒りに
燃えたち ひとつに団結した
何百万 何千万の心よ!

確固とした平和 揺るぎない平和を
かぎりない 平和の大地を
自由で おだやかな世界を

広びろとした平和 花咲く平和を
ニカラグアに キューバに
グアテマラに エルサルバドルに

スペインじゅうに 平和を
海と大地と 空に 平和を
外国の基地のないスペインを

風のように 自由なスペインを
みずからの手によってのみ導かれ
だれの荷車にもつながれぬスペインを

おお 漁師たちの島 ロタ島* よ
白い帆船の行きかう ロタ島よ
おまえの望楼にもう太陽はない!

わたしは入江からおまえを見る
買いとられ 囚われた
アンダルシアの眠れる星よ

そんなおまえを 見たくはない
いかなる 死の条約にも
とらわれない スペインを

眼を閉じて やすらかに眠れ
白や赤の ミサイルに
その夢を かき乱されずに

大地に 海に 平和を
平和のなかに 平和を
核ミサイルは 破棄され

さわやかな 風のなかを
生きいきと 鳩たちが
大空を 飛び交うように

自由な人民よ 眼をさませ
世界の町まちよ うたえ
平和を そうして自由を

聞いてくれ スペインも歌ってる
そしてすべての人民と手を結んで
毅然と 立ち上がっている

平和 平和 平和 輝く平和よ
仲よく暮らす 世の中を
幸せな スペインのうえに
    
            一九八一年十一月十五日
             マドリード平和集会で
    
 * ロタ島――スペイン南西、大西洋に面したカジス湾にあるロタ島は、米海軍が第六艦隊とポラリス原潜の寄港地として使用している。

<「マチャード/アルベルティ詩集」土曜美術社出版販売 1997.12>
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