愛のために
記憶が燃える新しい夜の記憶が燃える
そのために夜は照らされる
睡眠の内側は明るく照らされる
洋燈(ラムプ)の投げられた庭のやうに
君の眼の中の変光星
君の頬の上の暁の色
君の捷毛からのぼる白い霧
夢の隙間に横たはった君の顔
稲妻に触れたのちの眼の空虚
そこから絶えず眼は飢える
重く記憶を埋めた愛の廃墟
そこから絶えず愛は飢える
私は君を喚ぶ名前を知らない
しかも私の喚び声は沈黙のやうに巨きい
閃き去ったものの涯なさよ
私は愛するものの苦悩で喚びつづける
私の中を吹き去った風よ髪の毛よ
悲哀を探すやうに探すことの悲哀
私は私の空虚の彼方へ探しに行く
夜吹雪に角怒らせて
荒野へ出て行く牡牛のやうに
そして歩きながら私は眠る
夢の窓硝子に額をあてて
絶えず君を夢見るために
朝君のごとく緑は眼覚め
夜警に灼かれた私の眼の闇に
滴り煌く樹液は映る
夜の泉に映る星のやうに
<『現代詩人集』1940年>
記憶が燃える新しい夜の記憶が燃える
そのために夜は照らされる
睡眠の内側は明るく照らされる
洋燈(ラムプ)の投げられた庭のやうに
君の眼の中の変光星
君の頬の上の暁の色
君の捷毛からのぼる白い霧
夢の隙間に横たはった君の顔
稲妻に触れたのちの眼の空虚
そこから絶えず眼は飢える
重く記憶を埋めた愛の廃墟
そこから絶えず愛は飢える
私は君を喚ぶ名前を知らない
しかも私の喚び声は沈黙のやうに巨きい
閃き去ったものの涯なさよ
私は愛するものの苦悩で喚びつづける
私の中を吹き去った風よ髪の毛よ
悲哀を探すやうに探すことの悲哀
私は私の空虚の彼方へ探しに行く
夜吹雪に角怒らせて
荒野へ出て行く牡牛のやうに
そして歩きながら私は眠る
夢の窓硝子に額をあてて
絶えず君を夢見るために
朝君のごとく緑は眼覚め
夜警に灼かれた私の眼の闇に
滴り煌く樹液は映る
夜の泉に映る星のやうに
<『現代詩人集』1940年>
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