(フイ・カーン詩集『東海の潮』)
夜なかの柘榴の実
フィ・カーン
わたしはこの詩を夜なかに書いている
木木も草も静かに眠り
風は遠くから吹いてくる
わたしは眠ってるきみを見つめる
蝉の鳴き声のさかんな
ま晝の庭の影のように くっきりとした魂を
海は凪(な)いでいる
きみはそよ風のなかにぐっすり眠ってる
わたしはきみを寝ずに見守る影だ
外の高みでは 星たちも二つづつまたたいている
夜という果実のなかの 黄金色の実の夫婦たち
人生という大きな果実のなかのわたしの心よ
木の実の夫婦のようなわたしたち二人も
たくさんの夫婦たちのなかのひと組だ
風が夜なかにおそく吹く
春なのか それとももう夏なのか
きみはどんな夢をみているのだろう?
きみのくちびるにほのかな微笑みが浮かんでいる
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