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エドウィン・カストロ「明日 すべては変るだろう 息子よ」

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明日 すべては変るだろう 息子よ
                 エドウィン・カストロ/大島博光訳

明日(あす) すべては変るだろう 息子よ
苦しみは うしろの扉から出て行くだろう
その扉を 新しい人間たちの手は
永遠に 閉めてしまうだろう
農民は これから自分の土地で笑うだろう
──小さくとも 自分の土地で──
楽しい労働にいつくしまれて花咲く土地で
労働者の娘たちも 農民の娘たちも
もう身を売らなくてすむだろう
りっぱな労働で 彼女たちは
パンや着物を 手に入れるだろう
プロレタリヤの家から 涙は消えるだろう

おまえは満足げに 笑いを浮かべて統治するだろう
アスファルトを敷いた街まちを
河の流れを 田舎の道路を

明日 すべては変るだろう 息子よ
もう 思想を抑えつける
鞭もない 牢獄もない 銃弾もない

おまえはすべての町の通りを歩いてゆくだろう
おまえの手に おまえの子供の手を引いて
きょう おれがおまえにしてやれないことをして

牢獄も おまえの青春の歳月を閉じこめないだろう
おれの青春を閉じこめているように
おまえは亡命の身で死なないだろう
ふるえる眼で
祖国の風景を見たいと熱心に願いながら
おれのおやじが死んだように

明日 すべては変るだろう 息子よ

 訳注 エドウィン・カストロ(ニカラグア)の生年月日は不明。彼は四年間の投獄と拷問ののち、一九六〇年五月十八日、ラ・アヴィアシオンの牢獄で殺された。

(自筆原稿)

◇   ◇   ◇
この詩を原詩に林光が合唱曲「告別」を作詞・作曲しています。
博光はニカラグアの詩人二人の詩を訳していました。原稿のコピーでは、33-35ページがクアドラの「輝く二つの星の対話」、36-40ページがエドウィン・カストロのこの詩で、原稿の全体は見つかっていません。全体はどういうものか、何故この2篇をコピーで残したのかは不明です。

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