マルスナック「娼婦」

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 娼 婦
             ジャン・マルスナック/大島博光訳

やってくるものに マルセイユの港もわたしほどには開いていない
そう 戸口 わたしは海に開いた戸口だった

男どもの群が 羊の群れのように この入口を通って行った
男どもは わたしのからだの花束をまき散らした
男どもは わたしの牧場や窪地で草を喰(は)んだ
羊の口で わたしの乳房をしゃぶった
わたしの牧草は 男どもの飢えたよだれにまみれた

いまでは わたしはとしとってしまった
すっかり 夜に痛めつけられてしまった
わたしはもうぼろの暗礁だ 水夫も寄りつかない
もうだれも わたしのおなかの泉をあがめない
悪にひたった神も わたしの股のあいだで死んでしまった

港だったわたしも もう海には開いていない

(注 ジャン・マルスナックはアラゴンの次の世代にぞくする詩人。)

<『稜線』No.59 夏 1996.7>

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