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遠山房枝「姉」

ここでは、「遠山房枝「姉」」 に関する記事を紹介しています。
 姉
                 遠山房枝

 九才違いの姉で、私が物心つく頃は上京しその後すぐ結婚しましたので姉妹で一緒に遊んだ思い出はあまりありません。
 わたしの十才頃、水色のハーフコートや絞りの四つ身のアンサンブル等上手に縫ってくれました。又、家では絵を描きラジオにかじりついてクラシックを聞き、本を読み戦争中の圧迫された中での青春だったと思います。
 私は姉の取っていた「みずゑ」を開き朔太郎の詩、高村光太郎の詩等姉の本箱から読みました。
 早世した上の兄は姉と共通するものも多く三鷹に寄宿していた時に亡くなったので姉の悲しみも大きかったそうです。
 下の兄(前橋在住)は音楽に造詣が深く聞く楽しみを姉から受けたものと思います。
 五人の兄妹も二人になってしまいました。六十七年の生涯を十二分に生きた姉を讃え心からご冥福をお祈りいたします。

       平成五年四月十二日

 不自由なる身体の姉が心こめ
   シチュー煮込みて吾を待ちをり

 四季の花好みて描きしキャンバスよ
   パーキンソン病は日毎に進む

 面高のデスマスクなり色白の姉
   改めて美しと見る

 上げるとはついに云わざりし油絵を
   姉の形見と抱え帰りぬ

 淡き黄の菜の花の横に描かれし
   枯れヒマワリに姉の死思う

<追悼文集「大島静江をしのんで」>

菜の花房枝


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