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旅愁  八月二十三日

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旅愁               八月二十三日

七〇歳
わたしはパリにひとり旅
好きなパリも
ひとりぼっちでは地獄のようだ

毎日のように
ビュット・ショーモンにきて
あの高い釣り橋の上から
池のなかの鯉を眺める
藻に蔽われた浅い水のなかを
二,三尾 群をなして泳いでいる鯉たち
ときには それをめがけて
恐ろしい釣針をかくした
釣り師が 糸を投げる  
パン屑や角切りのじゃが芋に誘惑されずに
泳いでいる鯉よ

わが多摩川の是政の釣り場が思い出される
おお、魚影の濃い多摩川を思い
心は是政の釣場に走る

ビュット・ショーモンの鯉よ さようなら
明日(あした)は もう多摩川だ

<ノート 「1980 パリ」>

ビュイットショーモン
ビュット・ショーモン公園にて

*ヨーロッパ詩集の「ビュット・ショーモンの公園」の下書きノートになります。

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