千曲川

大島博光記念館へようこそ。
長野詩人会議が中心となって建設運動をすすめ、2008年7月にオープンしました。
愛と抵抗を歌った博光の詩の世界にふれていただけます。







 わたしの行きたいのは
                大島博光
 ─ひとは遠くからやってくる
    ポール・ヴァイヤン・クーチュリエ
 
ひとは遠くからやってきて
さらに遠くへ遠くへとめざしてゆく
おのれの限界を越えて
崩折れようとするおのれを鞭うって
おのれの夢を追って
おのれのアルカディアをもとめて
    *
ほんとうに わたしの行きたいのは
遠いあそこだ あの高みだ

雲のうえに望み見た あの白い稜線だ
夢にまで見た あの頂上だ
空気も薄く 酸素の少ないところ
雪煙をあげて怖るべき突風の吹くところ



人間の力の限界が 問われるところ
人間の意志の強靭さが試されるところ
もしかしたら わたしの滅びるところ
力尽きて雪のなかに消えうせるところ

それでも わたしは登ってゆきたい
それが わたしの夢・生甲斐だから

        一九九一年七月
(『橋』1991年8月)

倉手山