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ドブジンスキー

ここでは、「ドブジンスキー」 に関する記事を紹介しています。
千曲川

大島博光記念館へようこそ。
長野詩人会議が中心となって建設運動をすすめ、2008年7月にオープンしました。
愛と抵抗を歌った博光の詩の世界にふれていただけます。


シャルル・ドブジンスキー(1929年4月8日ー2014年9月26日)
フランスの作家で詩人。
ポーランドのワルシャワで生まれ、1歳のときにフランスに移住。1944年、レジスタンスに参加、武器を取る。
レジスタンスの若者新聞「Young Combat」に最初の詩を発表。
1950年、日刊紙「ス・ソワール」の記者に、1953年、週刊文芸誌「レ・レットル・フランセーズ」の記者となる。
「今世紀の偉大な詩人たち、アラゴン、エリュアール、マヤコフスキー、パブロ・ネルーダ、ナジム・ヒクメット、ニコラス・ギレンといった詩人たち」これらリアリストの詩人たちが、われわれの世代の師だと告げる。
1970年代の初期からフランスの文学雑誌「ユーロップ」の経営チームの一員となり、1995年から2014年に亡くなるまで編集長を務めた。1984年「ルイ・アラゴン、エルザ・トリオレ協会」設立に事務局長として貢献した。

*大島博光は彼の詩集『力の点検』(1958年)から5篇(6,10,12,13,14)を訳出している。

ドブジンスキー

【出展】
嶋岡晨訳「ドブジンスキー詩集」(飯塚書店 1963年)
ウイキペディア フランス語版 
稲田三吉「アラゴン友の会」(『文化評論』1986.3)




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(自筆原稿)

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  力の点検 6 
                       ドブジンスキー
                       大島博光訳

         *

わたしは みんなに答えねばならぬ わたしはみんなと
分かちあっているから おなじような暮し向きを
約束と希望を 四季のめぐみと忘却のうねりを
日々と われらの血管にたまるその石灰のおりを

わたしはみんなに答えねばならぬ わたしはみんなを受けいれ
理性にしたがって悔いなく選びとったから
いちばんけわしい道を 出口もさだかに分らず
かわりやすい向こう岸に たどり着く確信はなくとも

いちばんすばらしいものと悪いものに向ってわたしは歌った
そうしてわたしの命をたたかいの先頭に投げこんだ
小川のように わたしはほかの流れにまじりあった
ひとが海へいくようにわたしはひとびとの方へ行った

わたし知った 貧乏というものを そうして貧乏が
ひとびとの心のなか深く生みおとしたかずかずの卵を
ひとびとがもぐらのように暮らしているくらやみを
労働者たちの夜こそ母の乳のようにわたしを育ててくれた

彼らとともにわたしは愛することの意味を知った
かれらとともに ごまかしのない自由が始まった
ついにこの世のしくみがはっきり眼に見えてきた
まるで彼らのまなざしがすべてを手ほどきしてくれたよう

わたしはみずから希望の火のにない手となる
わたしの命はわらのうえに こころは街にある、
そうして手もとどくばかり 空はういういしく
太陽は子どものように震えながらす裸だ

いまわたしは信じてきたものに面と向きあう
わたしは 夢と可能とがまじりあう十字路なのだ
砂にそだてられ みたされぬ砂漠だったわたしに
いまは種子がまかれ草が植えられ小川が流れる

わたしは反省し 理解をふかめようとつとめる
詩人は地上の生きた鏡だ その映しとったものを
すべての脱皮していくものに分かち与えるものだ
詩人は そこに射しこんでくる光りをうたう

わたしは自然法で語る あの岩ののどのなかから
かずかずの秘密をはぎとり あばき出して
この世の思い出を悔へとおしやる泉のように
わたしは枝わけされ 時代のなかにくぐりこむ

故人たちはその生きてる根をわたしに残してくれた
かれらの叫びは硫黄のような力をさずけてくれた
わたしは彼らの思い出が掘ってくれた井戸なのだ
叫びの吹きあがるままにしてくれ 天に穴をあけるまで!

苦しみはひとを強くする 悩みもひとつの果実だ
苦悩のばらばらの言葉がほこりのなかに落ちる
ひとびとはそこに彼らの一致点を見いだすだろう
そして死ぬような苦しみを狂人のように閉じこめるだろう

ふえていく叫びは もはや同じひとつの叫び
おなじひとつの苦しみ おなじ涙のともすひとつのランプ
だが過去の彼は われらのまえに立ちふさがる
生活に車のいきから活気をとりもどさねばならぬ

もっともはやっている言葉は頭をのけぞらしている
ちんばな愛撫のことばは空しく消えさっていく
もいちど すべてを解きあかし言い直さねばならぬ
われらはありあまる仕事にかこまれた学者のようだ

すべての創造されたもの かちとられたものは
われらのこころに 厖大な要求をつきつける
すべてを語ることはまたわれらの夢を活気づけること
われらの大胆さにさらに正しい糧を与えること

すべてを語るとはまたわれらの行動を活気づけること
はずれたネジや残った古い根株をあばきだすこと
たましいが侵されるまえに いらくさを焼きはらうこと
こだまをひとつにまとめ混乱をととのえること

兄弟たちの友情に助けられて学習をつづけよう
人間はほかの人間の写しではありえぬからだ
君たちのひとりが休み田のような顔を見せるなら
それこそくらやみがつけねらうわなではないか

生活を背おって われらは進まなければならず
流した涙は 歩むわれらの足もとで石となった
しかも進まねばならぬ 光りが前を進むのだから
光りがわれらを焼きこがそうと横木をとり払わねばならぬ

(自筆原稿)

くるみ




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(自筆原稿)

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[ドブジンスキー「力の点検──10 わたしはわたし自身と話しあう」]の続きを読む


懐疑
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(自筆原稿)

ピンク


[ドブジンスキー「力の点検──懐疑のきまぐれな炎に」]の続きを読む


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2

(『詩学』1959.7)

赤