
世田谷美術館で開催中の展覧会「ユートピアを求めて ポスターに見る・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム」

<1.帝政ロシアの黄昏から十月革命まで>
ロシア革命とともに花開いたロシア・アヴァンギャルドの息吹きを伝えるポスターが素晴らしい。
<2.ネップ(新経済政策)とロシア・アヴァンギャルドの映画ポスター>
1921年のネップ導入によりたくさんの映画が制作され、斬新なデザインの映画ポスターが多数つくられた。
<3.第一次五カ年計画と政治ポスター>
社会主義建設を呼びかけるポスターも興味深い。スターリンの専制支配の確立、1931年からの政治宣伝の中央集権化、翌年のすべての芸術団体解散を通じて、アヴァンギャルドの芸術は息の根を止められる。
*参考サイト「抹殺されかけた芸術 ロシア・アヴァンギャルドポスター入門」

カタログには180点に及ぶすべての作品が収録されていて有難い。

「幻のロシア絵本1920-30年代」をショップで購入できたのは収穫。
ロシア・アヴァンギャルドの成果を注ぎ込んだ斬新な絵本の数々は感動もの。
ロシア・アヴァンギャルドは絵画や文学、演劇ばかりでなく絵本にまで及んでいた。
数多くの画家や児童文学者のなかにマルシャーク(「森は生きている」やビアンキ(「森の動物新聞」)の名も出てくる。
1932年ころより芸術への統制と迫害が強まる中で、絵本はアヴァンギャルド芸術家に残された唯一のジャンルとなっていく。しかし1936年に絵本の分野にまで弾圧がなされる。多くの芸術家が逮捕され、銃殺されて、作品は焼却処分された。(アレクサンドラ・シャツキフ「ロシア・アヴァンギャルドの最後のきらめき 1920-30年代のロシア絵本」)