大島博光 戦前・戦中の詩

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千曲川

大島博光記念館へようこそ。
長野詩人会議が中心となって建設運動をすすめ、2008年7月にオープンしました。
愛と抵抗を歌った博光の詩の世界にふれていただけます。





敗北


(『蝋人形』1935.8)


海



白夜のなかに



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海


悲歌


   (『現代詩人集』昭和15年)
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『現代詩人集』第4巻

大島博光

(深夜の通行人)
1 愛のために………………………………
2 飢ゑの歌……………………………………『蝋人形』
3 家もなく……………………………………『蝋人形』
4 白夜のなかに…………………………
5 悲惨……………………………………………『新領土』
6 悲歌……………………………………………
7 失はれた愛の歌……………………『新領土』
8 火の歌………………………………………
9 深夜の通行人…………………………『新領土』
10 植物……………………………………………
11 消えさりし泉の歌…………………『蝋人形』
12 夢みる耳……………………………………『蝋人形』
13 生命を変へる…………………………

*『現代詩人集』全6巻は1940年(昭和15年)に山雅房から刊行された詩人集。
第4巻は永田助太郎が編集し、春山行夫・近藤東・村野四郎・北園克衛・大島博光・永田助太郎の6名の詩を収録。詩誌『新領土』や『詩法』に参加したモダニズム系の詩人を集めている。

現代詩人集

深夜の通行人




生命を変える



(『現代詩人集』山雅房 昭和15年)

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火の歌
(『現代詩人集』山雅房 昭和15年)




竪琴


(『近代名詩選』千歳書房 昭和19年)


彫刻


新しき愛の天体
                          大島博光

涸れた夜から夜へ
君は濡れた星に眼覚めてゐた

しかも君の眼は地球を映してゐた
愛と憎悪の両半球を

君の熟ある呼吸は私を呼びさまし
君の燃える皮膚は私を温めた

しかも君の唇と私の唇の間
悪夢は針金のように縛ってゐた

喰ひしばった歯の間
君の愛は吃った

しかめた頼の皺の中に
君の言葉はかくされた

君の震え声は太陽を呼んだ
すべての地平線の夜の中に

君の震える手は星を指さした
すべての空の夜の中に

君の影 それは女の顔であるのか
君の影 それは真理の顔であるのか

君の踏みにじられた影の上
私の鋏のごとき腕を挙げる

君の截られたアキレスの上
私は旗のごとく立ち上る

(『新領土詩集』1941年)

夜

 わが辣の高みに
                      大島博光

眠らざる壁のなかに醒めたるわが眼
石のなかに塗りこめられしわが焔
涙する鋼
歯噛みする花

われをしてかくも釘のごとく尖らしむる
この茫漠たるものは何ものであるか
われをしてかくもそそり立たしむる
この未知の鞭は何ものであるか

軽やかなる大地 重き翼
風の深淵 閉ざせる真珠
大地のしたに呻く鉛
草むらのしたにつぶやく泉

われは夜に溶けいり
その姿なきさそりを探そう
涙の虹をとおして
この姿なき鴉を探そう

わが棘の高み 黒き縞ある風が吹く

(『蝋人形』1940年8月号)

トンボ

不幸なものは見てゐる


(『三田文学』1938年6月)

A5スクラップ詩集




目覚めない獣



(『新領土』1938年5月)

A5スクラップ詩集
 不幸の血管は透えては見えない

胸を蔽ふた夜の彼方
眼のない手は探る
埋められた岸を

蒼ざめた沼地の前
手のない唇を舐る
埋められた岸を

草を倒し石を蹴り
狼は壁を破つて跳びかかる
恐怖の背中へ

襲はれた肩の上
憎悪は首を垂れる

私の頬の上
悪夢の爪痕は残る

(掲載誌不詳)

A5スクラップ詩集
 小宇宙のために
                    大島博光

地球よりも小さな脳髄には
憎悪よりも大きな穴を開けよ
地平線よりも狭い額には
沈默よりもはげしい唾を吐きかけよ

彼らは生きながら剥ぎとられてゐる
彼らは生きながら骸骨となつてゐる
彼らは夢みることなく眠つてゐる
彼らは夢みることなく眼醒めてゐる
彼らの盲目唖愚妄無智に愛撫され
彼らの惰弱倭小卑劣に抱かれて
彼らは空轉してゐる空虚のやうに
恐怖のやうに

彼らには麵麭よりも孤獨を
彼らには詩よりも殴打を

泥のなかへ彼らの顔を影を
鉛のなかへ彼らの言葉を眼を

(掲載誌不詳)

A5スクラップ詩集


肉體の棘


(『文藝汎論』1938年9月)
夜襲


(『文藝汎論』1939年4月)