パブロ・ネルーダ
百の愛のソネット 目次
マチルデ・ウルーティアに
(朝)
1 マチルデよ……
2 くちづけに辿りつくまでの
3 はげしい恋びとよ
4 おまえは思い出すだろう
5 大地と 養分にみちみちた
6 森のなかで道に迷い
7 「一緒になろう」と
8 もしも おまえの眼に
9 うち寄せる波が
10 音楽や森のように
11 おれはおまえの髪に
12 女ざかりの女よ
13 おまえの足の先から髪へと
14 おまえの髪をほめ讃える閑が
15 おまえがこの地上に生まれてから
16 おまえという地球のひとくれを
17 火を吹く火矢のような カーネーションよ
18 山をゆくおまえは
19 おまえが イスラ・ネグラのあわだつ白い泡や
20 私の意地悪さん……
21 どうか愛が
22 どれほど おまえを愛したことか
23 ひかりは火となり
24 恋びとよ 恋びとよ
25 恋びとよ おまえを愛するまで
26 グァテマラの ドゥルチェ河の
27 裸のおまえは
28 恋びとよ 穀物から穀物へ
29 おまえは 貧乏な……
30 おまえは 群島の落葉松から
31 南部の月桂樹と
32 朝の家は 羽根や敷布が乱れ
33 愛する妻よ さあ
(昼)
34 おまえは海の娘だ
35 おまえの手が おれの眼か
36 愛するひとよ セロリとこね鉢の女王さんよ
37 おお 狂おしいまぶしさよ
38 正午 おまえの家は騒騒しい
39 ところで おれは忘れていた
40 静けさまでが緑に染まり
41 ひややかな正午(まひる)が
42 おお 海の波にゆすられる
43 おれはおまえの面影を探しまわる
44 おれがおまえを愛し
45 たったの一日でも
46 いろいろな川や
47 おれは振り返って 枝のなかのおまえを見てみたい
48 しあわせな二人の恋びとたちは……
49 昨日は 昼の指と
50 コタポスは言う
51 おまえの笑いは……
52 おまえが 太陽に向い
53 さあ パンも 葡萄酒も
(夕ぐれ)
54 絶対の房 垂直的な正午の
55 棘(とげ)や 割れたグラスや
56 いつもおれの背後に
57 かれらは おれがもう月を失くしたと
58 文学の烙印を押す 御用批評家たちの
59 哀れな詩人たち
60 彼らはおれをおとしいれようとして
61 愛は 苦悩というお供をつれてやってきた
62 なんとおれたちの不幸なことか
63 おれは行く かつて海に埋もれた塩の花が
64 おれの人生は たくさんの恋で
65 おまえはいったいどこにいるのか
66 おれはただ おまえを愛しているから
67 「南部」のどしゃ降り雨が
68 この木彫りの娘は
69 おまえがいなかったら
70 どうやら おまえの生命の放つ
71 苦悩から苦悩へと……
72 愛するひとよ 冬がまた街街にもどってきて
73 おまえはきっと思い出すだろう
74 道は 八月のにわか雨にぬれて
75 おい 見ろよ おれたちの家と
76 ディエゴ・リヴェラは 熊のようなしんぼう強さで
77 今日とはまさに今日だ
78 おれには まったくなにもない
(夜)
79 夜には おまえの心臓をおれの心臓と
80 ながい 苦しい旅から
81 さあ おれの眠りに
82 愛する人よ さあ
83 夜 ぐっすりと眠りこんで
84 愛するひとよ またみんな昼の網(あみ)から
85 海から街の方へ
86 おお 南十字星よ
87 海鳥が三羽 三つの光線
88 また三月が 陽射しをしのばせて
89 おれが死んだら……
90 おれはもう死ぬかと思い
91 寄る年波は 霧雨のように
92 恋びとよ おまえが死なずに
93 たとえいつか
94 おれが死んでも
95 だれが おれたちのように愛し合っただろうか
96 おまえがおれを愛してくれたこの時代も……
97 そのとき どこへ……
98 おれの一つの手が
99 ほかの時代がやってくるとき
100 大地の下で おまえを見つけ出そうと
解説
パブロ・ネルーダ 年譜
(角川文庫『ネルーダ詩集』1975年)
百の愛のソネット 目次
マチルデ・ウルーティアに
(朝)
1 マチルデよ……
2 くちづけに辿りつくまでの
3 はげしい恋びとよ
4 おまえは思い出すだろう
5 大地と 養分にみちみちた
6 森のなかで道に迷い
7 「一緒になろう」と
8 もしも おまえの眼に
9 うち寄せる波が
10 音楽や森のように
11 おれはおまえの髪に
12 女ざかりの女よ
13 おまえの足の先から髪へと
14 おまえの髪をほめ讃える閑が
15 おまえがこの地上に生まれてから
16 おまえという地球のひとくれを
17 火を吹く火矢のような カーネーションよ
18 山をゆくおまえは
19 おまえが イスラ・ネグラのあわだつ白い泡や
20 私の意地悪さん……
21 どうか愛が
22 どれほど おまえを愛したことか
23 ひかりは火となり
24 恋びとよ 恋びとよ
25 恋びとよ おまえを愛するまで
26 グァテマラの ドゥルチェ河の
27 裸のおまえは
28 恋びとよ 穀物から穀物へ
29 おまえは 貧乏な……
30 おまえは 群島の落葉松から
31 南部の月桂樹と
32 朝の家は 羽根や敷布が乱れ
33 愛する妻よ さあ
(昼)
34 おまえは海の娘だ
35 おまえの手が おれの眼か
36 愛するひとよ セロリとこね鉢の女王さんよ
37 おお 狂おしいまぶしさよ
38 正午 おまえの家は騒騒しい
39 ところで おれは忘れていた
40 静けさまでが緑に染まり
41 ひややかな正午(まひる)が
42 おお 海の波にゆすられる
43 おれはおまえの面影を探しまわる
44 おれがおまえを愛し
45 たったの一日でも
46 いろいろな川や
47 おれは振り返って 枝のなかのおまえを見てみたい
48 しあわせな二人の恋びとたちは……
49 昨日は 昼の指と
50 コタポスは言う
51 おまえの笑いは……
52 おまえが 太陽に向い
53 さあ パンも 葡萄酒も
(夕ぐれ)
54 絶対の房 垂直的な正午の
55 棘(とげ)や 割れたグラスや
56 いつもおれの背後に
57 かれらは おれがもう月を失くしたと
58 文学の烙印を押す 御用批評家たちの
59 哀れな詩人たち
60 彼らはおれをおとしいれようとして
61 愛は 苦悩というお供をつれてやってきた
62 なんとおれたちの不幸なことか
63 おれは行く かつて海に埋もれた塩の花が
64 おれの人生は たくさんの恋で
65 おまえはいったいどこにいるのか
66 おれはただ おまえを愛しているから
67 「南部」のどしゃ降り雨が
68 この木彫りの娘は
69 おまえがいなかったら
70 どうやら おまえの生命の放つ
71 苦悩から苦悩へと……
72 愛するひとよ 冬がまた街街にもどってきて
73 おまえはきっと思い出すだろう
74 道は 八月のにわか雨にぬれて
75 おい 見ろよ おれたちの家と
76 ディエゴ・リヴェラは 熊のようなしんぼう強さで
77 今日とはまさに今日だ
78 おれには まったくなにもない
(夜)
79 夜には おまえの心臓をおれの心臓と
80 ながい 苦しい旅から
81 さあ おれの眠りに
82 愛する人よ さあ
83 夜 ぐっすりと眠りこんで
84 愛するひとよ またみんな昼の網(あみ)から
85 海から街の方へ
86 おお 南十字星よ
87 海鳥が三羽 三つの光線
88 また三月が 陽射しをしのばせて
89 おれが死んだら……
90 おれはもう死ぬかと思い
91 寄る年波は 霧雨のように
92 恋びとよ おまえが死なずに
93 たとえいつか
94 おれが死んでも
95 だれが おれたちのように愛し合っただろうか
96 おまえがおれを愛してくれたこの時代も……
97 そのとき どこへ……
98 おれの一つの手が
99 ほかの時代がやってくるとき
100 大地の下で おまえを見つけ出そうと
解説
パブロ・ネルーダ 年譜
(角川文庫『ネルーダ詩集』1975年)