フランス童謡

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千曲川

大島博光記念館へようこそ。
長野詩人会議が中心となって建設運動をすすめ、2008年7月にオープンしました。
愛と抵抗を歌った博光の詩の世界にふれていただけます。


フランス童謡もくじ(大島博光訳編)

A. <1950年(昭和25年)頃 原稿>
1.ひとの輪(わ)で    ポオル・フォル
2.踊りましょ       トゥニィ・レリィ
3.ぼくはいつでも元気   ジャン・モレアス
4.鬼ごっこやめよ     ジョルジュ・ゴオディオン
5.ぼくのつくったきれいな笹舟

B. ピーエル・ガマラ「わが教え子たちにおくる詩」
1.雪のなかの雀
2.仔熊たちの子守歌
3.夜の歌
4.金髪の人形のための子守歌
5.靴下の歌
*ピエール・ガマラ(1919年7月10日-2009年5月20日)フランスの作家、詩人。対独レジスタンスに参加。戦後、長くフランスの文芸誌「ヨーロッパ」(Europe)の編集長を務めた。



ぼくのつくった笹舟.



(「フランス童謡」ノート)
 夜の歌
               ピーエル・ガマラ/大島博光訳

蝶々はビロードだ、ビロード切れだ、
帽子もかむらず飛んでいる、飛んでいる
その大きな眼に、重そうな眼に、
白い まっ白いばらが王女に見えた。

きこえるかい、森の奥で、奥のほうで、
蛙たちがころころ、ほろほろ鳴くのが?
なんだろう、おまえをぬらすこの露は、波は、
歌っているこの小歌は、この声は?

もう夜だ、子供たちも眠っている、
栗鼠(りす)たちも眼をとじて眠っている。
蛙の子たちが、にれの木かげで、
ヴァイオリンを弾いている、道は青い。

こおろぎは裸麦のなかでのこぎりをひき、
仔狐たちは穴のなかでのどを鳴らしている、
小鳥も眠り、おまえのノートのそばで、
消しゴムや定規(じょうぎ)も眠っている・・・

<自筆原稿B>
 仔熊たちの子守歌
             ピーエル・ガマラ/大島博光訳

わたしの灰いろの仔熊たち、
まるまるふとった仔熊たち、
はつか鼠のような眼をし、
大鼠のような毛をもった、
わたしの灰いろの仔熊たち
ひょろひょろにやせた仔熊たち、
わたしの雉鳩たち。

わたしの灰いろの仔熊たち、
まじめくさった仔熊たち、
めしつぶを頬にくっつけ、
菜っぱをほほばる、
わたしの灰いろの仔熊たち、
でっぷりふとった仔熊たち、
まんまるい黒ん坊たち。

お月さんが暗くなった、
雪が降ってくるぞ、
さあ、わたしが話をしてやろう、
つめたい小麦粉のような
雪のしたで眠っている
みどりの果樹園の話を、
リラの花の話も、
きれいな真珠の話も。

わたしの灰いろの仔熊たち、
でっぷりふとった仔熊たち、
まるまるふとった仔熊たち、
まじめくさった仔熊たち、
めしつぶを頬にくっつけ、
菜っぱをほほばる、
わたしの灰いろの仔熊たち、
さあ、おとなしく眠れ、
ぐるぐるのどを鳴らして。

<自筆原稿B>

わが教え子たちにおくる詩
             ピーエル・ガマラ/大島博光訳

雪のなかの雀

雪のなかの雀よ、今夜は寒い、
うぐいすもいない、雀よ さよなら
暗い庭で、古い如露(みずまき)は眠っている、
霧のしたで、シルヴェットを待ちながら、

ミッシェルを待ちながら、春を待ちながら、
いつかその如露(みずまき)で 薔薇に水がやられるだろう
古い如露はみぞれの下で眠っている。
林檎の木の洞(うろ)で、大鼠は夢みている。

雪のなかの雀よ、北風の音をお聞き、
月があたり一面を照らしはじめた、
糸杉が風に呻めき、霧が吹き散らされる、
冬はあんまり寒いので、わたしの心も凍えてしまう・・・

<自筆原稿B>
 金髪の人形のための子守歌
               ピーエル・ガマラ/大島博光訳

(この子守歌は、栗いろの髪の人形や髪のない人形のためにも、同じように歌ってやってもよい)

眠れ、眠れ、小麦いろの娘(こ)、蜜いろの娘(こ)よ、
風がおまえの長い髪を撫(な)でてくれる、
湖水はおまえに空の星を映してくれる、
庭には仙女が踊り、熟(う)んだ桃が匂っている。

眠れ、眠れ、こおろぎが月の光りのなかで歌っている間、
あまい眠りがくる時は、心臓だけうたせておけ、
眠れ眠れ、わたしは海や砂山をもってきてあげよう、
それから陽を浴びて働いているひとたちの歌を、
雪のように白いパンになる穂麦を、
夕ぐれの川ばたの、あまいアカシヤの花を、
如露を待ちながら震えているばらの花を・・・
眠れ眠れ、風も浮子(うき)のようにかろやかに吹いているから。

<自筆原稿B>

 靴下の歌
             ピーエル・ガマラ/大島博光訳

こっちにも穴、あっちにも穴、
わたし、どうしようか知ら。
みんなわたしをぼろぼろだと言う。
でっかい穴、小さい穴、
ああ、わたしは穴だらけ、
それはなんと悲しいこと!

みんなはわたしをひっぱったり伸ばしたりする、
こっちの穴を、あっちの穴を、
わたしはいま言ったじゃないの、
でっかい穴、小さい穴と、
わたしはお鍋のように穴だらけ、
あっちにも、こっちにも!

わたしのきれいな「針」よ、
わたしのところへ飛んできておくれ、
あなたには羽根がないの?
こっちにも穴、あっちにも穴、
あなたには糸も毛糸もあるじゃないの?
可愛らしい「針」よ、
息を切らして飛んできておくれ、
わたしにはこっちにも穴、
わたしにはあっちにも穴を、
可哀そうなお母さん、つくろっておくれ、
このわたしをつくろっておくれ。


*ピエール・ガマラ(1919年7月10日-2009年5月20日)フランスの作家、詩人。対独レジスタンスに参加。戦後、長くフランスの文芸誌「ヨーロッパ」(Europe)の編集長を務めた。
 鬼ごっこやめよ
                   ジョルジュ・ゴオディオン/大島博光訳

お寺のかねがなっている
おにごっこやめて
原っぱ とおって
おうちへかえろ

空は夕焼け
屋根まで赤い
おにごっこやめて
おうちへかえろ

こまやたこを
忘れず もって
原っぱ とおって
ごはんにかえろ

あとには原っぱの草ばかり
風にふかれて ゆれている
お寺のかねの鳴るほうへ
子供のうたは 消えてゆく

   ◇   ◇   ◇
*なつかしい言葉「原っぱ」。子供の頃は原っぱや空き地がどこにでもあって、日が暮れるまで鬼ごっこや草野球をして遊びました。今の子供たちはどこで遊ぶのでしょう?
*手書き原稿「フランス童謡 大島博光訳編」(1. ひとの輪で 2. 踊りましょ 3. ぼくはいつでも元気 4. 鬼ごっこやめよ ) 北多摩郡三鷹町下連雀三六八

ぼくはいつでも元気
                      ジャン・モレアス/大島博光訳

秋には木の葉が散るでしょう
冬には小川も凍ります
でも ぼくはいつでも元気です

もう 鬼ごっこもできません
笛や太鼓(たいこ)もこわれます
でも ぼくはいつでも元気です

風が吹いても 風のなか
雪が降っても 雪のなか
ぼくはいつでも元気です

 踊りましょ
                  トゥニィ・レリィ/大島博光訳

おどりましょ おどりましょ
りんごのこかげで おどりましょ
みんな元気に おどりましょ

おどりましょ おどりましょ
さくらのしたで おどりましょ
手に花もって おどりましょ

おどりましょ おどりましょ
しばふのうえで おどりましょ
みどりの草ふんで おどりましょ

おどりましょ おどりましょ
お陽(ひ)さんのしたで おどりましょ
お空は青い おどりましょ

 ひとの輪(わ)で
                    ポオル・フォル/大島博光訳

もし 世界じうの女の子が
みんな手と手をつなぐなら
海のまわりをとりまくでしょう

もし 世界じうの男の子が
みんな舟乗りになるならば
舟をつないで海をわたれましょう

もし 世界じうの大人も子供も
みんな手と手をつなぐなら
世界をひとつの輪(わ)でとりまくでしょう

<自筆 1950年>